『神主の遺言』

それぞれが「本当の私」と出会い、精神的な苦しみから脱して、自分らしい人生を送れるヒントを語ります。

新社会人へのエール

おはようございます。

ご訪問ありがとうございます。

色々忙しいと思いますが、頑張りましょう。

 

 

さて

「付喪神」・「九十九神」って聞いたことありますか?

いずれも「つくもがみ」と読みます。

これは古くなった道具が妖怪に変化したものと言われています。

扇子や鍋や茶わんと言った生活用品を、年末のすす払いの時に処分すると、

今まで長く主人に仕えてきたのに、あっけなく捨てられた道具たちが妖怪となると考えられたのです。

なんとも「日本らしい」発想だなぁ~と思います。

あらゆるものには神や霊や宿るという「和覚」に基づく考え方です。

今日はその事について考えてみたいのです。

 

 

私たち神主も日々「道具」を使います。

もちろん色々な道具を使うのですが、その中でも最も神主を「象徴」する道具は、やはり「笏」だと思います。おじゃる丸が持っているあの「笏」です。

実はこの「笏」、時代や地域によっては神主さんが亡くなった時、仏教で言う「位牌」と同じように使われます。それだけ神主と笏は密接な関係にあるのです。

 

他にも、

植木屋さんと言えば剪定バサミですし、床屋さんや美容師さんもハサミを使います。

板前さんは包丁ですし、記者さんはペンでしょう。

歌い手さんはマイクでしょうし、SEだったらパソコン、運転手さんならハンドルかな。

 

このように、職業によってその仕事を象徴する道具というのがだいたいあります。

植木屋さんだって、剪定ハサミ以外にノコギリだって、箒だって使うだろうけど、やはり象徴は剪定バサミだと思います。

 

私たちは、それぞれの職業でそれぞれ象徴となる道具を使います。

そしてこれらは長年使っていると、その使った人間の魂のようなものが宿ると考えられてきました。

「鋏塚」というのは、植木屋さんや美容師さんが使ったハサミを供養する塚です。

また「包丁塚」「筆塚」のように、道具を供養する塚も全国にたくさんあります。

やはりこれも、道具には魂や霊が宿っているという日本人独特の感覚「和覚」に基づくものだと思います。

 

こうした道具は主に「手」を通じて、その持ち主の魂が宿ると私は考えています。

長年その道具を手で使うことによって、だんだんとその人の思いが道具へと移っていく(着念する)と思います。

つまり、「道具」と「私」が一体化する。ということです。

もう少し詳しく言うと、「道具」という「分離」したものと、「私」という「分離」したものが、「統合」する。ということが言えるわけです。

 

このように長年使った道具というのは、「自分の一部」になります。

職人の世界では「道具を大事に使いなさい」と言われます、

道具を大事に扱うか扱わないかで、その人の仕事っぷりが解るとまで言う程です。

これは、単に道具を長持ちさせるために言われていることではないと思います。

先ほど私が申した通り、

仕事における「道具」というのは、あなたの一部となり得る物です。

ですから、これは「自分を大切に扱う」ということと同意義ということなのです。

 

さぁ

今日は4月1日年度初めです。

新社会人の皆様、ご就職おめでとうございます。

今日からあなたの「仕事」が始まります。

あなたの職業における象徴的な「道具」はなんでしょか?

是非一つ、コレ!というものを決めてみて下さい。

そしてそれを大事に扱う事を心掛けてみて下さい。

大事に使い、大事に手入れをし、大事に保管し、決して下に置いたり、跨いだりせず、大事に大事に扱ってみて下さい。

やがてそれはあなたの一部となるでしょう。

そして気づくことでしょう。その「道具」が逆にあなたを助けてくれていたことに。

つまり、道具と私という境界線が薄れて、「分離」よりももっと大きな力である「統合」の力を身に着けることができると思います。

 

 

 

それでは今日はここまで。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。