『神主の遺言』

それぞれが「本当の私」と出会い、精神的な苦しみから脱して、自分らしい人生を送れるヒントを語ります。

「性」と向き合う 第4章 同性婚とささやかな提案

 

それでは続きになります。

 

この問題の最後に触れておきたいものが、「同性婚」です。

というのも、この問題になると、必ず宗教系の立場から「反対」の意見が出てきて、日本ではあまり見られませんが、本当に激しい場合、海外では殺人にまで及びます。

宗教の教義に同性愛を禁じることが述べられていたり、そのような解釈に基づいて、こうした行動に出ていることが大半です。

 

もちろん、このお話の冒頭に述べた通り、日本の神職はこの同性愛に関して、真剣に考えていないどころか、揶揄するような人たちまで大勢いますから、神道としての見解なんてものはありません。

神社によっては、同性でも結婚式を斎行している神社もあって、私もそうした事例をネットを通じてですが、確認したことがあります。こうした事例に対して、私がいちいち何か申し上げることはありません。※できれば取材したいですけど。

また、例えば神道は子孫をたくさん残すことが「神に倣う事だ」とか、或いは『日本書紀』の「阿豆那比罪」を同性愛罪と考える神職もいるかも知れません。※私はこれは「合葬罪」だと思っています。

それはそれぞれのお考えですので、尊重いたしますが、やはり私として(統合神道として)の見解は申しておくべきだと思います。

 

と言っても実はそこまで複雑なコトではありません。

男性が女性を、女性が男性を、男性が男性を、女性が女性を愛するということに、優劣もないし、違いもありません。

お互いが求め合う通りに求め、そして愛を育んて欲しい。私はそう思います。

ただし、一つ重大な事を確認しなければいけません。それが・・・

 

「同性間における性行為では、子供を作るという目的を持った射精が行われない。」

 

ということです。

同性婚を国に認めて欲しいと求める人たちは、人が愛し合うと言うことに性別は関係ない。と言います。もちろんその通りです。

しかし結婚とは人が愛し合うということも大事ですが、

その両性の性行為の中で数度、子供を作ろう(生殖)という目的を持った射精が行われることに対しての「制度」が結婚なのです。

男性同士における性行為は、すべて快楽を目的とした射精です。女性同士であればそもそも射精がありません。

愛し合っているという理由と結婚は言ってしまえば関係がないのです。

あくまでも生殖を目的とする射精の為の制度です。(冷たく聞こえますけどね)

 

ですから、私としては「同性婚は認めない」のはなく「同性愛に結婚が必要ない」と申しているわけです。

結婚という、確かに愛し合う男女が行う行為に対して、ある種憧れのようなものを抱く人もいます。それは誰しもそうだと思います。

それを自分たちも体験したいと思う気持ちもよくわかります。しかし結婚の意味というのは上記に示した通りなのです。

ですから、そうした枠組みにはまらず、いわゆる同性愛者として生きておられる方、即ち少数派のみなさんが、わざわざ多数派の決めた制度に憧れ、これを真似するするなんて、非常にもったいない、と私は強く申し上げます。

制度上に生じる問題(財産・医療・保険)の解決は、「養子縁組」という制度を上手く活用して欲しいと思います。

 

それより何より、ご自分たちでオリジナルの生き方を作り上げる方向へ、意識を向け、柔軟にご自身たちに合った生き方、ライフスタイルを創造して欲しいですし。

むしろ、それが少数派の使命だと思います。

そこで本当に最後に、こうした方々に対して、僭越ではありますが、提案を致したい、というより、ある言葉をお送り致します。

それが・・・

 

「繋縁」(けいえん)

 

という私の造語です。

結婚という男女の制度を真似るのではなく、全く別の言葉であるこの「繋縁」を用いてみるのはどうでしょう?

男性同士であれ、女性同士であれ、本当に分かり合い、人生の時間を共に過ごしたいと決意した2人の「縁」を「繋ぐ」という意味です。

神前でもなんでも「繋縁式」という新しい祈りと誓いの儀礼が生まれるように思います。

ただやはり、男女の結婚同様に、相当な覚悟を持って行うべきことだと思いますので、この「繋縁」には「養子縁組」がセットとなるべきだと思います。

皆様はいかがお考えになりますでしょうか?

 

 

4章に分けて、ずいぶん長い投稿になりました。

もちろん、私のお話は完全ではありませんし、見落としている部分も山のようにあります。ただ神道の人間として、この問題に少しく意見を申し上げたことは良かったと自分で思っています。

それぞれがそれぞれらしく生きられる社会であることを願っています。

 

最後までお読みいただきまして本当にありがとうございます。

それではまた。