『神主の遺言』

『統合神道』唯一の神主のブログ。それぞれが「本当の私」と出会い、精神的な苦しみから脱して、自分らしい人生を送れるヒントを語ります。

挽歌

ご訪問ありがとうございます。

 

 

私の友人のお父さんは海の事故で亡くなってしまいました。

私は会ったことも、話したこともありません。

先日その友人がお父さんが生前遺した「手記」や彼の活動を取り上げた「新聞記事」のコピーを送ってくれました。

これらを通じて、色々な思いが去来し、ブログを書こうと思ったのです。

もちろんその友人からの許可をもらっています。

 

 

都会でサラリーマン生活をしていたお父さんでしたが、

脱サラして田舎暮らしを決意し、理想的な農業(私には人間の理想的な生き方と読みました)を目指されました。

ご自身が子供の頃、田舎での暮らしを体験されており、当時二歳だった我が子(私の友人)にも、いわゆる自然に囲まれた環境で育って欲しい。という強い希望を持っておられたのも、移住のきっかけでした。様々な偶然と導きが重なり、山深い田舎暮らしを始められました。

 

「手記」には移住してからの暮らし、そこから感じる様々な思いを読み取ることができました。決して偉そうに上から目線(←この言葉自体好きじゃないですが)で申しているのではありませんが、「自らの気持ちを率直に言葉として表現する」という、できるようでできない事が素直に行われています。

こうした「素直な文章」を書けるというのは、元々聡明な方だったのに加え、都会を離れ、山や川、田畑や家畜など、「ありのままの世界」で暮らすことによって、彼自身も「ありのまま」でいることの尊さを学んだからだと思いました。

 

日々何かを主張したいと思い、それが強すぎて気持ちが鬱積する私ですが、こうしてブログでは文章が書けるくせに、いざそれをまとめて一冊の本にしようとすると途端に筆が止まります。成果として出せないのです。これも長く私の一つの「苦しみ」ではありましたが・・・

 

「オレのように書けばいいだろ。」

 

とお父さんの「手記」を読みながら言われたように思います。

つまり「ありのままであれ」「飾るな」と言う事です。

大学・大学院で齧ったコトが、変に私の中にとどまり、私の文章を「気取らせている」のだと思います。

 

・・・このことはまだ友人には伝えていないのですが、

実は頂いた「新聞記事」の切り抜きを見て驚きました。そこには田んぼに農薬を散布する代わりに、カモやアヒルを放って除草や除虫を行っているというものでした。

平成4年の記事なので、私が小学5年生の時の話です。私が当時この新聞記事を読んだわけではありませんが、何かでこの田んぼにカモやアヒルを放つというやり方がある事を知り、とても強い関心と喜びを感じたことを思い出しました。どんな媒体だったかは忘れましたが、確かにこうした活動をしている農家があるということ覚えています。私としては「これで田んぼの生き物が生き残れる」と喜んだのです。

私の家の周囲にも田んぼはたくさんありましたが、農薬の使用によって棲める生き物が非常に限られてしまっていました。

もし将来自分が田を持つことがあれば、きっと私もそうするだろうし、日本全国そうなって欲しい。子供ながらそんな事を思ったことを思い出します。素直に時を越えた不思議なご縁を感じることができました。

 

・・・非常に残念な事に、冒頭述べた通り、このお父さんは後に海の事故で亡くなりました。全く面識もない方なので迂闊なことは言えません。ただやはりどうしても私が感じたことを一言だけ述べます。

 

それは、「海の神の招き」に応じたのはないか・・・

 

ということです。

急に神がかった事を言うようですが(って神主だからいいんですけど)

日本人が経済の成長によって「あらぬ方向」へ進み、日本人らしい・人間らしい生き方からどんどん離れて行ってしまう中(実際にご本人もそれを憂いておられました)、彼は農業という方法を以て、人間という「生き物」が人間らしく生きるという、その王道を示そうとなさったのだと思います。

そしてそれは決して彼ひとりの意思ではなく、脱サラした事、子供の頃から田舎暮らしに親しんでいたこと、導かれるように移住先を訪れ土地などを取得できたこと・・・これらは「山の神の招き」だったように思うのです。

彼はその招きに応じ、この地に住み、その人生を賭け、苦労の末に結果を出してみせた。

 

海の神はそんな彼の「純心」を見逃すことがなかった。

だから今度は、そのフィールドを山から海へと移して欲しいという神の招きに応じたように思います。

でも・・・そうであるならば、生きながら海の仕事に携わって欲しかった。遺れるご家族はそう願うはずです。

しかし、「神の招き」を受けるような人の「次元」は私たち凡夫には計り知れないものがあります。

肉体を越えて、海(わだつみ)の世へと、田舎暮らしを始める時と同じように、希望にもえて、サッと行かれた・・・

そんな事を感じました。

友人のお父さんからとても多くの事を学びました。

心からの感謝と尊敬を捧げます。

 

友の父を偲びて

ちはやふる 神の招きを畏みて くぬがうみがに尽くす君かも

 

最後までお読みいただき、ありがとうございます。