『神主の遺言』

それぞれが「本当の私」と出会い、精神的な苦しみから脱して、自分らしい人生を送れるヒントを語ります。

もう一つの祭り

おはようございます。

ご訪問ありがとうございます。

今日は夏至でさらに日食なのだそうです。

太陽を観測する時は必ず専用のメガネなどを用いて下さい。

日食網膜症という目の疾患に繋がります。

 

 

 

さて

今日も「お祭り」の話を致します。

やはり、コロナの影響で各地の神賑神事などが中止や縮小となり、

多くの方が残念な思いをされているでしょうから、

私から少しでもこうした方々にメッセージを発して、

次のお祭りへのモチベーションを高めてもらいたいと思うからです。

 

ただ今日はちょっと祭りを覗く角度がいつもと違います。

祭りと言えば、華やかな神輿や山車が出て、担ぎ手や曳き手の姿に心奪われるものです。

あと忘れられがちですが、私たち神主が奉仕する、皆さんが「神事」と呼ぶあの儀式も祭りの中核をなすものです。

しかし、こうした祭りと並行して、私たちはもう一つの祭りの恩恵を被っています。

それが・・・

 

「お給仕」です。

 

つまり、ご飯の支度や片付け、お酒の用意などの事です。

表で祭りをやっている間に、どれだけ多くの女性たちが、町会事務所などの炊事場で、大変な思いをしながら食事の支度をしているか、みなさん考えたことはありますか?

 

普通の家族の食事を用意するだけでも大変なのに、お祭りとなれば大人数になります。

それを女性たちは手分けして、協力しながらこなしていくのです。

私が奉仕する神社のお祭りも同じで、やはりたくさんの女性たちがお給仕に関わっていらっしゃいます。

「この地域にお嫁にくるとお祭りの時大変だよ。」なんて女性の間で話になるそうです。

 

祭りとか人が集まる場面では、地元出身の政治家が現れるものです。

その良し悪しは置いておくとしても、

大勢が集まる場面で彼らは挨拶をして顔を売るものですが、本当に心遣いができる政治家というのは、隙を見てはこうした炊事場に顔を出して、女性たちの労をねぎらうそうです。

 

 

また似たような話ですが、

実は私は高校生くらいからしばらくとある神輿会に所属していて、あっちこっち担ぎに行っていました。(本当にみなさんと同じように祭りが好きなんです。)

とある有名な祭りに参加した時、ある町会にお世話になりました。

一言で言うと、その「手際の良さ」がすごかったことを思いだします。

私たちのように当日しか来ないようないわゆる「担ぎ屋」と言われるような人たちへの対応が見事なのです。

トラブル防止のため、神輿の棒を担ぐ位置を事前に確認し、

人数分の弁当がちゃんと用意されていて、最後にはお土産までくれるのです。

当時の私はただ、担げて楽しかった~、お弁当美味しかった~、お土産もらってよかった~

 

くらいにしか思わなかったと思いますが、今にして思えば、

この祭り当日までに、何度も何度も何度も何度も・・・・・・・・・

町会の人たちが話し合って、当日応援にくる私たち担ぎ手の事を思って、

どうすればスムーズ祭りを行い、皆が楽しめるのかということを・・・

 

(↓ ここからが一番大事なコトです)

 

頼まれてもいないのに、

ただ祭りが好き、地元が好き、神社が好き、

という純粋な心に従って、考えて下さっているのです。

もちろん、考えることはこうしたゲストのことだけではありませんし、他にも準備することは山のようにあるでしょう。

祭り当日になれば、それぞれ決められた係や持ち場に貼り付いて、その任務を全うすることに専念します。

祭りが大好きなのに、一般の方がイメージするワイワイする祭りは全然できず、地味ぃ~な仕事が続くのです。

 

ある方の話では、その人は本当に祭りが好きなんだそうですが、ここ10年近く祭り当日は「給水係」なんだそうです。

盛夏に行われる祭りなので、担ぎ手や見物人が脱水や熱中症にならないように、見張っていて、水などの飲み物を配るのだそうです。

目の前で大好きな神輿が動いていて、本人もそりゃ飛び込んで担ぎたいけど、それをしない。給水係に徹することで、祭りを支えているのだという実感を持つのだそうです。

 

それに、当たり前ですが、弁当一個、お土産一つ、ビールもジュースも、それを冷やす氷も、なにもかも・・・タダではありません。

地元の人や志のある方が、一生懸命働いて稼いだお金の一部を寄付して成り立っています。

額の大小にかかわらず、こうしたお金があるからこそ、飲んだり食ったりできることを、絶対に忘れないでおきたいです。

中には大事な年金の一部を寄付するお年寄りもいます。足を引きずって寄付を納めにくる姿に本当に頭が下がる思いがします。

 

つまり何が言いたいか・・・

 

「人間が尊い」

 

ということです。 

 

 

いかがでしょう。

お祭りは楽しいものですし、私も大好きです。

しかし、こうした人たちの苦労と真心があるからこそ、実現するものなのです。

みなさんが参加するお祭りには、どういう人たちが関わり、

どんな人が、成功させようと知恵を巡らし、体を使っているか、お金を使っているかを想像してみて下さい。

それができると、きっと次のお祭りでは、今まで以上に、深く感謝のできる、素晴らしいお祭りになると思います。

 

それでは今日はここまで。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。