『神主の遺言』

それぞれが「本当の私」と出会い、精神的な苦しみから脱して、自分らしい人生を送れるヒントを語ります。

「子供」か「子ども」か

おはようございます。

ご訪問ありがとうございます。

 

いきなりですが、みなさんは誰かの「お供」をしたことがありますか?

昔で言えば、「旅のお供」とか、「お殿様のお供」とかがありますが、

今の世であっても、「買物のお供」とか「父の散歩のお供」とか・・・

こんなでも立派な「お供」です。

社会に出ても、例えば会社の社長が、どこかへ出向く際には、

運転手兼カバン持ちみたいな感じで「お供」をすることがあると思います。

ただ、なんとなくこの「お供」というのは、

身分の上下のようなものがイメージとして付帯して、

どうしても古臭く感じるというか、中には嫌悪する人もいるのかも知れません。

 

というのも、私はこの「お供」の話で、どうしても忘れられないことがあるのですが、

小学6年生の時、当時の担任の教師が・・・

 

「子供の「供」という字は「お供」という意味で、子供を一人の人間として尊重してないからダメな漢字の使い方です。私は必ず「子ども」と書きます。」

 

みたいなことを言っていたわけです。

生徒の中には、「なんて子どもの事を考えてくれているいい先生だ」なんて思った子もいたかも知れませんし、また彼らの中には今でもそう感じている人いるかも知れません。

正直言って私は「昔の人が決めた事(選んだ字)なんだから、なんか意味があってのことだと思うんだけど・・・」

と、ここまではっきり思わないにせよ、こんなニュアンスの事を感じたことを覚えています。ただ「昔の人が決めた事なんだから」と思ったのは間違いありません。(当時から私はそんな人間だったのです)

 

ただですねぇ

神職になって、非常に感じることなのですが、

この「お供」の存在って大事なんですよ。

ていうより、人間にとって「お供の時代」が一番の学びの時というわけなんです。

 

例えば父・母・子の三人で、神社へ来て「家内安全」のご祈祷を受けるとします。

受付用紙に「世帯主」(ほとんどの場合、父)の名前を書いてもらいます。つまり代表者です。

そして、ご祈祷が始まります。祝詞ではその代表者の名前が読み上げられます。

そして、その代表者に玉串を渡し、前に進んでもらって、母と子はその場で起立して、一緒に拝礼をするわけです。

これが基本の形です。

 

ただ・・・中には

代表者の名前の欄に、家族全員の名前を無理やり書き入れ(次いでに犬の名前も)

祝詞では全員の名前を読んで欲しいと頼み、

玉串拝礼では代表者に玉串を手渡すと、全員が前に出て来て一本の玉串を全員でお供えしてみたり、或いは一人ひとり玉串を下さいと言ってみたり。

と・・・

 

とにかく家族全員一緒じゃないと気が済まない。という家族が結構いるのです。

私はキチンと理由を説明して、神社では特別な理由がない限り、個人より、家単位でご祈願された方がいいですよ。とお伝えしますが、それでも納得いかない人もたまにはいたりします。(まぁそいう場合は仕方ないですが)

※神社によっては個人で受け付けている所もあるでしょう。だってその方が初穂料が増えますからね。こういう神社でご祈祷をした経験がある人からすれば、私のようなやり方を言う神主は、ちょっと味気ないというか、なんでなんだ!と思う人もいるかも知れません。

 

私がこういう家族に接する時、

「子供」の学びの機会を奪っているなぁ~と感じてしまいます。

 

子供というのは、子供を持っている人でも、そうでない人でもわかると思いますが、

とにかく「大人を見て」います。

びっくりするくらいの観察眼を持っていて、それを一つひとつ記憶しているわけです。

ていうよりそれが「仕事」とも言えます。

私たちは誰かの真似をする生き物だからです。(ご参考 ↓ )

あなたは誰の真似をした?? - 『神主の遺言』

 

例えば、父親が神主の案内に促されながら、玉串を捧げて拝礼する姿を、

後ろで見ているから、その子が父親になった時に同じことができるのです。

しかし、一緒にやってしまっては、見る事ができないのです。

よく習い事でも、先生のお手本を先ず見なさいと言われます。

これも同じで、できそうだからと言って、一緒にやってはいけないのです。

 

ですから私から言わせると、

「子供」というのは、本当によくできた、本当によく考えられて作られた文字で、

 

「子が親という手本を見るために、供として後ろに控えながら学ぶ」

 

という意味を持っているのだろう。と思います。

あの小学6年生の時の教師ともし今議論することがあるなら、

そう言うかなぁ~。と思うことがあります。

あ・・・あと、「それなら子供に選挙権がないのはどういう訳ですか?」

とも言っちゃうかも知れません。

なんて答えるかなぁ~

 

 

それでは今日はここまで、

最後までお聞きいただきありがとうございます。